PrEPに関する英国の最新調査結果(2019年)

2019年8月14日、イングランド公衆衛生サービス(Public Health England)が、PrEPsteriwantPrEPnowと共同で行ったPrEPに関する調査結果を公表しました。調査結果からいくつか興味深い部分をピックアップして紹介します。

Online_Survey_in_England_2019

今回の調査は、2019年5月17日から7月1日の間に実施され、2389人が回答。ゲイ向けのデート用アプリGrindrなどで調査協力を呼びかけ、PrEPsterとiwantPrEPnowのメーリングリストやSNSでも回答者を募った。1/4以上の回答者がGrindrを通じて、調査ページにアクセスした。

回答者は自身を以下のように定義している

      • ゲイ男性:92%
      • バイセクシュアル男性:6%
      • トランスもしくはノンバイナリー:2%
      • ヘテロセクシュアル:0.5%
      • 白人:86%
      • その他の民族集団:14%

PrEPの入手先として挙げられたのは以下の通り

      • the English IMPACT trial(現在英国で実施中のPrEPの治験):54%
      • 各地の健康保険サービス(スコットランド、ウェールズ、北アイルランド):5%
      • オンラインショップ、プライベートクリニック、友人から入手:37%

コンドームの併用と性的パートナーの人数

      • 96%の回答者が、コンドームを使用しない性交渉を少なくとも1回、過去半年間に行った
      • 1/3の回答者が10人以上のパートナーと性交渉を行った
      • PrEPとコンドームを常に併用しているユーザーは、かなり少数:4%以下

PrEPの入手について

      • 回答者のうち、22%が過去1年間にPrEPを入手しようとして、入手できなかったと申告
      • 上記回答者のうち3/4が、the English IMPACT trialに登録できなかったと回答
      • ロンドン市以外に居住している人は、ロンドン市民よりもPrEPの入手が困難であった
      • 過去1年間にPrEPを入手しようとして、入手できなかったと申告した回答者のうち82%(全回答者の約20%)が、過去6か月間にコンドームを使用しない性交渉を行ったと回答

PrEPを服用中の人たちからの回答

      • コンドームを使用しない性交渉を行っているPrEP服用中の人たちの約半数近くが、性交渉の相手がPrEPを服用中か、HIVの治療薬を服用中か、わからない、もしくは確信がないと回答
      • PrEPを服用中と回答したうちの、86%が過去3か月以内にHIV検査を受検したと申告し、79%が前年に3回以上HIV検査を受検したと回答
      • PrEPを個人輸入などの方法で入手して服用している人の回答に絞ると、71%が過去3か月以内にHIV検査を受検したと申告し、58%が前年に3回以上HIV検査を受検したと回答
      • PrEPを服用中と回答したうちの、2/3が前年3回以上STI(性感染症)検査を受検したと申告
      • PrEPを個人輸入などの方法で入手して服用している人の回答に絞ると、半数以下が前年3回以上STI(性感染症)検査を受検したと申告

STI(性感染症)について

      • PrEPを服用している人たちの約半数(51%)が、前年、何らかの性感染症と診断されたと申告(以下内訳)
          • 淋病:65%
          • クラミジア:61%
          • 梅毒:16%
      • PrEPを個人輸入などの方法で入手して服用している人の回答に絞ると、前年、41%が何らかの性感染症と診断されたと申告
      • PrEPを服用していると申告したうちの13%(PrEPを個人輸入などの手段で入手している36%中37%)が、定期的にクリニックへ通院せずPrEPを服用している(その回答者たちは、前年に1回もしくは0回のみHIV検査を受検したと申告)
      • PrEPを個人輸入などの手段で入手して服用中の人たちの約半数が、服用開始前・服用中の腎機能検査を未受検と申告

PrEPの服用を止めた理由

PrEPの服用経験のある人のうち、18%が服用を止めたと回答。服用を止めた理由は以下(複数回答可)

      • 性交渉をしなくなった:36%
      • 一対一の閉じた関係になった:23%
      • PrEPを購入する金銭的な余裕がなくなった:24%
      • PrEP自体の入手が困難であった:22%

PrEPを服用中のユーザーからのPrEPに対する印象

      • ほとんどのPrEP服用者は、PrEPに対して肯定的な見方をしており、3/4が完全にプラスの効果があり、マイナス面はないと申告
      • 12%の服用者が、プラス面とマイナス面の両方を申告
        「性交渉の際に感じていた不安を軽減できた」
        「性的なパートナーとの親密感が増した」
        「性感染症の定期検査に行く際の不安を軽減できた。以前は、安全な背性交渉をしていたのにも関わらず、不安に感じて、検査に行くのを先延ばしにしていた」

今回の調査に協力したグループの代表者からは以下のコメントがよせられました。

Greg Owen (iwantPrEPnow 共同創設者)
「英国でPrEPを服用している人たちの1/3は、オンラインショップからPrEPを入手しています。PrEPを服用したいと考えている人が、入手できていること自体は喜ばしいのですが、その人たちが望むサポートや(定期検査などの)見守りを提供する責任が、私たちにはあります。」

Will Nutland (PrEPster 共同創設者)
「この調査結果のデータは、イギリスでPrEPの提供を完全に公認し、オープンアクセスにする必要性をより強固にしています。
PrEPの入手を望んでいた回答者の5人のうち1人は入手できず、PrEPの使用を止めた人たちの1/5は、アクセスの問題でPrEPを中断していました。」

この記事は、以下の2つの記事を参考に書きました。

People getting PrEP at their clinic have more STI and HIV tests than people who buy it online

‘Scandal’ as English gay men at risk without access to HIV prevention pill

WHO(世界保健機構)オンデマンドPrEPを承認

WHO(世界保健機構)は7月下旬にメキシコシティで開催された第10回国際エイズ学会 IAS 2019 で、オンデマンドPrEP(別名:EBDまたは2-1-1)をMSM向け服用方法の選択肢のひとつとして、承認しました。

TECHNICAL BRIEF WHAT’S THE 2+1+1? JULY 2019

WHO_PrEP_211

これまでWHOはデイリーPrEPを唯一の服用方法と推奨してきましたが、これによりオンデマンドPrEP(別名:EBDまたは2-1-1)を検討する人たちが増えると考えられます。

最初に述べましたが、この方法はMSM(男性とセックスをする男性)だけに推奨されており、女性(シスジェンダー・トランスジェンダー)とトランス男性には適していません。この服用方法は、性交渉の頻度が低く、前もって性交渉が行われることを少なくとも2時間までに予測できる人に適しています。性交渉の頻度が高い人は、デイリーPrEPを服用方法として選択するのが望ましいでしょう。

PrEPに関する新しい情報ページをCDCが公開

CDC(アメリカ疾病管理予防センター)が「HIV感染のリスクを減らすための予防方策の有効性」と題したページを7月20日(現地時間7月19日)に公開しました。これまで言及していなかったいくつかの点について、さまざまな研究結果(科学的エビデンス)や報告を引用して説明しています。

Effectiveness of Prevention Strategies to Reduce the Risk of Acquiring or Transmitting HIV

以下、簡単に要約します。

      • PrEPの有効性が99パーセントと明言(MSMとシスジェンダーの異性愛者ー男女間)
      • MSMにおいて、PrEPを毎日、もしくは少なくとも週に4回服用することは、~99パーセント有効性があると認める
      • オンデマンドPrEPが科学的に有効で予防効果があると認める
      • コンドームの有効性(HIVの予防効果について)→アナルセックスのウケ側の場合、72パーセントから91パーセント
      • HIV陰性で服薬遵守していたPrEPのユーザーで、のちに陽性になったケースが、世界で3ケースと認める
      • TasP (or U=U)の有効性が100パーセントと明言