6. PrEPの効果がではじめるまでに、どれくらいの日数、薬を服用する必要があるの?

この問いの回答はいくつかの基礎研究から導き出されます。これらの研究では、血液、膣組織、直腸組織において、薬物濃度が最大になるまで、もしくは「定常状態」になるまでどれくらいの時間を要するかが示されています。薬の種類によって、体の各部位における有効濃度に達する時間が異なります。たとえば、PrEPに含まれる2つの薬、テノホビルとエムトリシタビンの間には有効な血中濃度に達するまでの時間に違いがありますが、PrEPが有効となるためにはどちらの薬もおそらく必要です。研究は複雑かつ不完全です。英国HIV協会(BHIVA)のガイドラインの執筆者は、研究について再検討した上で、PrEPの服用者のための実用的なアドバイスとして、以下の推奨をしています。HIVの感染リスクが肛門性交の場合か膣性交の場合かで、推奨内容は異なります。

HIVの感染リスクが肛門性交の場合、服用スケジュールの種類に関わらず:
・開始するとき:PrEPは、性交渉の2~24時間前に2錠服用することで開始できます。
・止めるとき(中断するとき):PrEPは、最後の性交渉の48時間後まで毎日続けられなくてはいけません(PrEPをやめる場合でも、最後の性交渉後、24時間後に1錠、48時間後に1錠服用することは必須です)。
・再開するとき:PrEPの服用中断後、7日以内に再開したい場合、1錠の服用で再開可能です。もし 7日以上経過している場合は、2錠服用して下さい。

HIVの感染リスクが膣性交または「前方」の性器による人の場合:
・開始するとき:PrEPは、性交渉をする7日前までに、1日1錠を服用する方法で開始されるべきです。もし性交渉までに、完全に7日間PrEPを服用できない場合、性交渉直前の服用を2錠にすることがさらなる予防になるかもしれませんが、この方法は証明されていません。コンドームやほかの予防方法を、PrEPの服用の最初の数日は併用してもいいでしょう。
・止めるとき(中断するとき):最後の性交渉の7日後まで毎日PrEPを服用するべきです。
・再開するとき:開始するときと同じ方法で行います。

薬物注射による感染リスクの場合
性交渉による感染リスクと同様に、組織よりも血液の方が、PrEPの濃度が保護レベルに達するまでにより時間がかかるということを認識する必要があります。薬物注射をする7日前から7日後までの間、PrEPを服用することが推奨されます。