26. 薬物注射を行う人もPrEPを利用できるの?

薬物を使用する人は、性交渉だけでなく薬物を注射する際の器具の共有でもHIVに暴露する可能性があります。PrEPは2つの感染経路に関して異なる効果を及ぼしえます。薬物注射を行う人において、PrEPが性交渉による感染を防ぐのは当然のことですが、注射器具の共有によるHIVの感染リスクへの効果は、前者ほど明確ではありません。薬物注射を行う人々を対象としたPrEPのランダム化試験は一度のみタイで実施されました。テノホビル(PrEPの薬剤成分のうちのひとつ)が薬物注射を行う人々のHIVの感染予防に部分的に効果があったことが示されました。この研究は、薬物注射による感染を予防するためのPrEPの有効性の評価を目的としていましたが、この有効性の一部は性行為による感染の予防による可能性があります。 この研究にはもう1つの問題点があり、それはすでに効果が実証されているハームリダクション(針・注射器の交換を含む)が提供されていないことです。 この研究の結果は、薬物注射を行う人々の中でもハームリダクションが提供されており、HIVの感染リスクがはるかに低い場合には適用困難です。薬物使用の活動家たちは、注射器具の共有によるHIVの感染を防ぐという点では、滅菌された針、注射器、そのほかの器具への継続的なアクセスを確保し、またオピオイド代替療法を提供することをPrEPよりも優先すると主張します。