PrEPを服用しているけれども、COVIDワクチンを接種してもいいの?
答えからいうと、接種できます!
接種の機会があったら、なるべく早く接種することをおすすめします。
日本で接種できる新型コロナウイルスに対するワクチンはファイザーとモデルナという会社が出しているmRNAワクチンです。接種することで9割以上の方がコロナに感染すらしなくなる、また発症したとしても重症化しなくなる[1]という、とても優れたワクチンです。
接種後は、接種した部位が痛くなったり、2〜3日間熱が出たりしますが、ワクチンの接種後に体が一生懸命、コロナウイルスに対する抗体をつくるなど、頑張っている証拠です。世界中でmRNAワクチンの安全性についてモニタリングをしていますが、死亡などの因果関係が明白な大きな有害事象は報告されていません。
一部、ネットやSNSで「遺伝情報が書き換えられる」などのデマが流れていますが、接種されたmRNAワクチンは体のDNAに組み込まれることなく、細胞の中でコロナウイルスの表面蛋白のひとつであるスパイク蛋白を作り上げて、役割を終えたら分解されてしまいます。スパイク蛋白だけが作られて、それに対する抗体が作られたりするわけです。
PrEPで使用される薬は、HIVの複製を止める作用がありますが、コロナウイルスや、ワクチンを接種することで体内の細胞で作成されるコロナウイルスのスパイク蛋白などに影響することはありません。安心して接種してください。
またHIVに感染している場合でも、コロナのワクチンは接種できます。臨床試験にはHIV感染している方も組み込まれており、安全性が確認されています。抗HIV薬はコロナのワクチンに何も影響しません。PrEPを服用している方でパートナーがHIVの方でも、一緒にワクチン接種をしていただけるとよいと思います。
1. Haas EJ, Angulo FJ, McLaughlin JM, et al. Impact and effectiveness of mRNA BNT162b2 vaccine against SARS-CoV-2 infections and COVID-19 cases, hospitalisations, and deaths following a nationwide vaccination campaign in Israel: an observational study using national surveillance data. The Lancet 2021; 397:1819–1829.
寄稿:谷口俊文(千葉大学医学部付属病院 感染症内科 講師)
Twitter @tosh_taniguc
谷口俊文先生は、HIVの専門医でPrEPの研究者です。また、新型コロナウイルス感染症や新型コロナウイルスワクチンに関する正確な情報を提供しているウェブサイト「こびナビ – COV-Navi」の運営メンバーのお一人です。
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